ある静かな町のはずれに、古びた神社がありました。
この神社は人々に忘れ去られて久しく、訪れる者もほとんどいませんでした。しかし、地元の学生たちの間では、この神社にまつわる奇妙な噂が脈々と噂されていました
その噂とは、「神社の境内にある古い鳥居をくぐると、願いが叶う」というものでした。ただし、一つだけ条件がありました。
その条件とは「願い事は深夜、月のない夜に鳥居をくぐりながら心の中で唱えること・・・」
ある晩、好奇心旺盛な高校生のハルトは、この噂を試そうと決意しました。
彼は月の見えない夜に神社へと向かいました。神社に到着した彼は、静まり返った境内を見て背筋が凍るような感覚を覚えましたが、それでもハルトは勇気を振り絞り、鳥居の前に立ちました。
深呼吸を一つし、彼は心の中で「大学受験に合格したい」と願いながら、鳥居をくぐりました。すると、不思議なことに、その瞬間、境内にひんやりとした風が吹き抜けたのです。彼は急いで神社を後にしました。
数週間後、ハルトは本当に希望する大学の受験に合格しました。
しかし、その喜びも束の間、彼は不可解なことに悩まされるようになりました。
試験に合格した日から彼は毎晩、夢の中で神社を訪れているのです。そして、その夢の中で彼はいつも、鳥居の向こうから自分をじっと見つめる古びた像を見ていました。
夢が繰り返されるにつれ、ハルトは目が覚めていても「像の視線」を感じるようになりました。まるで彼に何かを伝えようとしているかのように・・・
１か月後、彼は再び神社を訪れ、真相を確かめようと決心します。
神社に着いたハルトは、鳥居をくぐり心の中で「お願いしますこの夢から解放して下さい」と願いました。その瞬間「像の視線」が消え去り、ハルトは深い安堵を感じたそうです。
以降、ハルトは夢に悩まされることはありませんでした。
しかし、この出来事から数日後、ハルトの友人たちは彼から奇妙な話を聞きます。ハルトは夢の中で見た神社の像とそっくりな人物を、現実の町中で何度も見かけるようになったと言うのです。まるで、彼の願いが叶えられた代償として、何者かが彼の日常に入り込んだかのように。
この怪談は、願いが叶うかもしれない神社と、それに隠された謎にまつわるものです。現代においても、古くから伝わる神秘は、時に予想もしない形で現れるのかもしれません。